流れ星を巡る思い出

 先週がペルセウス座流星群だったことを新聞で初めて知った。高校時代はその日が来るのを待ちかねていたのにね。最初の流星観測は高校一年のときだった。仲間三人で一人ひとり受け持ちの方角を決めて空き地に陣取り、流れ星を見たら、時間と場所を星図に書き込んでいく。それからその日の流星の数と大きさ、流れた位置から輻射点が分かるというわけだ。
その日はちょっとしたハプニングがあった。空を見上げて少し経つと、腰にバスタオルを巻いた男が近づいてきて、「何をしているんだ」と問う。こちらはただ「流れ星を観測しています」と答えると、相手は「ふーん」といって帰っていく。最初はよく分からなかったが、たぶん覗きにでも間違えられたのだろう。
 肉眼の観測と平行して、シャッターを開けたままのカメラも夜空に向けていた。その方向に流れ星があればシャッターを閉じる。星々は動いていて、フィルム上に線となるが、こうすればどこを流れたかが確認できるのだ。といっても、一本のモノクロフィルムを使って、ちゃんと撮影できたのは一枚だけだった。でもその一枚にはペルセウス座も入っていて、ちょっとお気に入りではある。
 しかし、ほんとうに流れ星は美しい。漆黒の夜空を切り裂くように流れる刹那。それは何物にも換え難い魅力を持った一瞬に違いない。
 流星観測は高校時代に何回かチャレンジしたが、条件には恵まれなかった。
 そしてまた数年後、友人と流星群を見る機会があった。そのときはもう観測ではなく見物で、何の記録もつけていない。ただカメラだけは夜空に向けていた。すると幸運なことにオリオン座近くの流れ星を捉えることができた。それも通過後の流星痕も撮れるというオマケ付きだった。
 翌日、同じ流星を別の人が撮った写真が新聞の紙面を飾っている。私の写真の撮影場所と流星の位置を比較するとその高さが確認できるはずだ。
 さらに自分は寝ていて流星見物というのもある。やはり何年か前のペルセウス流星群のときに、自宅のベランダにビデオカメラを空に向けてセットし、室内のビデオデッキに接続すれば6時間ほどの録画が可能だった。ただし翌日にビデオをチェックしようにも、流れ星の光は淡いので、早送りすると写っているかどうか確認ができない。それでじっくりと6時間ほど暗い空を鑑賞。途中で雲が出てきたりして幻想的だったけど、なんと数十個の流れ星を確認できた。そこだけを編集するとちょっとした「天体ショー」の出来上がりとなる。まあ最近では同様のものがネット上にもあるようだが。
 ところで流星をみんなは天体現象だと思っているけど、厳密にはちょっと違う。宇宙の塵が地球が引っ張られて、大気圏との摩擦で燃え尽きるのが流星で、地面まで届くのが隕石。つまり元の物体は宇宙のものだけど、現象は大気圏内で起る、いわば「気象」現象なのだ。
 とはいっても一般に流星は天体現象に括られる。まあその方がロマンチックでもあるしね。 ちなみに宇宙の塵は彗星の通ったあとに多く残されるので、その軌道に地球が過ぎるとたくさんの流星が見える。それを一般的に流星群という。その中心(輻射点)の場所にある星座の名を冠して、「ぺルセウス座流星群」や「しし座流星群」などと呼ばれているわけだ。


★写真は今年のペルセウス座流星群を報じる朝日新聞の14日夕刊。18秒に3個の流星をキャッチするとはラッキーだ。でも3個とも別の向きに流れていて、同じ輻射点のようには見えない。つまり流星群ではない可能性もある。この写真だと流星も線のようで、一般的な流星とはちょっと違う気がする。もしかして飛行機や人工衛星ではないよね。