政府がプロモーションする商品

 最近の自動車のコマーシャルは、ほとんどが減税と補助金とエコをアピールするものばかり。つまりアピールポイントが価格と環境対策だけということになる。もちろん自動車産業が経済を支える重要な要素であることはわかるけど、減税も補助金も結局は歳入減と税金、つまり国家予算だよね。基幹産業がこのよう政府に支えられているってどうだろう。そしてちょっと前まで自由経済至上主義や規制緩和大賛成を大合唱していた人たちは<いまなにをやっているのだろう。
 そもそも自動車の販売不振は経済悪化が原因ではない気がする。自動車は大量生産品でかつ趣向品だという特別な地位で産業をリードしてきた。車検もそれを後押しし、モデルチェンジが換え時という幻想を消費者に与え続けてきた。でももう自動車に趣向性、つまり「稼ぎをドドンと使っても気持ちがいい」という属性は失われたのだと思う。
 ボンネットを開けてもいじくる余地はなくなったし、セレブの証しは高級車ではなくプリウスだし、ミニバンも売れているのは趣向性でなく道具としての利便性によるもの。
 もちろん世界でレクサスは売れ続けるだろう。日本でのBMWの人気は続くだろう。でも他の自動車を買った人はそれに満足し、以前のようにはそれらに憧れを持たなくなる。誰も他の家の炊飯器には嫉妬しないように。
 ということで、自動車は普通の耐久消費財になりつつある。だから生産・消費を促進するための「減税と補助金」なんだろうけれど、いずれそのツケは回ってくる。次は維持費の車検や自動車税、保険などをなんとかすれば、もっと「売れる」と思うよ。ツケはまた大きくなるけど。

★写真は我が家の自動車たち、たぶんみんなマレーシア製だと思う。