クラフト・エヴィング商會を「よむ」その四

oshikun2009-10-12

『ア・ピース・オブ・ケーキ』
吉田浩美

 タイトルには「一切れのケーキ」以外に「朝飯前さ!」といった意味があるのだという。吉田浩美さんはクラフト・エヴィング商會のユニットの一人、装丁やクラフト・エヴィング商會名義なので彼女のイニシャティブによって作られたということなのだろうか。今まで紹介してきた「クラフト・エヴィング商會」本はコンセプトがしっかりしていて、少しの破綻もないようにややガキガキに作られていた感じがするのだが、この本は悪くいえばそういった本たちのあまりモノを集めてみました的な印象を受ける。しかし昔よく売られていたケーキ屋の「クズケーキ」が極めておいしいように、バラエティに富んだ雑誌テイストの展開はなかなか美味なのだ。とても朝飯前などではなく、ゆったりとした午後にお茶なんぞを飲みながら開きたい一冊である。