クラフト・エヴィング商會を「よむ」その九

oshikun2009-10-17

『テーブルのファーブル』
クラフト・エヴィング商會
 まあタイトルからしてダジャレである。まずはテーブルあって、そしていろんなモノを置いて話が進む。当然のことながら文字は黒。しかし会話になるとどっちがどっちの発言かわからない。会話なのに話している人がだれかも定かではない。で、色文字にすることとなる。そんな展開から本作りの種明かしの始まり始まり。
 色は単色ではなく、かけ合わせ。地の文字、しかも明朝に色を乗せるなんてホントは版ずれするからしないんだけど、全権大使のクラフト・エヴィング商會だからお構いなし。おっとまだ本が出来上がっていないのに色校正紙が掲載されているぞ。
 ということでこの本の前半は、かなりオシャレなクラフト・エヴィング商會手法の開陳なのである。最初の頃の単行本はコンセプトがガキッとあってそれに則ってキリキリと作っていた風があったのだけど、これや『ピース・オブ・ケーキ』は肩に入った力を抜いて、矛盾もなにもイッツ・オーライという感じで本作りをしている。
 だからページ展開もてんこ盛り。後半になると、これは本というよりも構成的には雑誌といってもいいかもしれない。ホントの広告とウソの広告が入り混じり、コラムやイラスト、そしていままで本の落ち穂拾い的なページが挟み込まれている。悪くいえば年末決算在庫一掃廉価大バーゲンなのだが、それをそうと感じさせない力は確かに存在している。★写真は色の組み合わせで文字がどう変わっていくのかを会話の文章で試しているところ。もしフィルム製版だとしたら大変なことだろうけど、いやコッチの話。