区民講座初体験10最終回

oshikun2009-12-30

 歴史の小窓
 そして見学会の一行は図書館前で説明員の話を聞いたあと、図書館の会議室に案内されました。中はどこも空間が広く取ってあって、なかなか居心地がよさそうです。ここで2時間ほどの徒歩ツアーが終了となりました。
 最後に一言付けたしですが、と説明員がいいます。こういった軍事施設の史跡巡りは、以前はことがことだけにいろいろと問題があって開催が難しかったのですが、最近は逆にそういった体験を残そうという機運が起りつつあります。今回の講座の開催もそういったものの一環ではないでしょうか、とのこと。確かにその通りだと思います。かつては、そのまま賛美に結びつきがちでしたが、自分たちの住む町の実像を知ることは、その安易さにむやみに繋がらないと思えた三日間でした。
 昔、高島秋帆の西洋式砲術を見ようと徳丸ガ原に集まった、江川太郎左衛門や中島三郎助らの幕臣たちから、反射炉建設や火薬製造に着手した澤太郎左衛門たち、そして日露戦争やふたつの大戦を経て、軍事物資の生産拠点として担ってきた役割、さらに占領下やベトナム戦争時の米軍とのかかわり、そしてそれ以降の自衛隊の現在など、歴史を動かす大きなうねりがこの板橋区や北区を飲み込んできた事実があります。今回はそれを示す史跡の回廊を、ほんの少し歩いてきたということでしょう。幸いなことに中を覗き込むことができる小窓が、そこにはまだ残されていました。しかもその小窓は他にもたくさんあるようです。
★ほんの少し前まで赤いレンガ棟が立ち並んでいた陸上自衛隊十条駐屯地は、「白く塗りたる」近代的な建物に変わっていた。ここもいつか史跡になることがあるのだろうか。タイトル横の写真は一造の起点ともなった加賀藩下屋敷の築山から、火薬研究所の着弾地点の方を眺めたもの。途中の平らな場所は、城を模しているのかもしれない。