対岸の訓練

 ここ二三日のニュースで、明治神宮清水寺の防火訓練の様子が報じられていた。世事に疎いので、この時期の防火訓練が出初式にちなむものなのか、それとも阪神淡路大震災との関連なのかはわからないが、私の住む荒川近辺でも、毎年のように消防署による大規模な訓練が行なわれている。場所は対岸の埼玉側の河川敷なので、こちらは遠くから眺めるだけだが、一斉放水に始まり、各種消防車の出動、火をつけての演習、建物からの救助訓練などが展開、さらにヘリコプターの低空飛行など、さながらアドベンチャー・アトラクションである。しかし観客はたぶん消防署のおえらいさんぐらいで、あとはサイレンやヘリコプターの音を聞きつけた近所の人ぐらいなので、ちょっともったいない気がする。
 1時間ぐらいで訓練は終わり、たぶんえらいさんを乗せた黒い車を先頭に、おおよその車輛が現場をあとにする。残った人たちは、水浸りになった地面に長く伸びたホースをせっせと片付けている。この季節にはちょっと寒い風景だ。8月か9月になら、もっと清清しい感じになるし、ギャラリーももっと増えると思うのだけれど。