十年前の住まい探し02

oshikun2010-01-29

 我、冒険家二アラズ
昨日、マンション探しの第一歩を印す、なんて書いたけれど、その前にその場でジタバタと足踏みしなくちゃいけないことを思い出した。その辺を付け加えておこう。
 昨日の書き込みを読んだ方の中は、とりあえず持ち金がそこそこあるなら、何年か前に頭金を払って買っておいた方が、賃貸暮らしを続けるよりもよかったんじゃないのかなぁ、という意見もあるだろう。
 しかしそれは私の性分ではとても無理な相談なのだ。世のオトウサンたちは、500万円以下の頭金で5000万円程度のマンションを買って、ローン4500万円也のために、残りの人生の35年を捧げている人が大勢いるようだが、これはアラスカの氷原を犬橇で走破したり、アフリカの密林を縦走するよりも、とてつもない冒険のように私には思える。しかも一歩踏み出したら、途中で財宝でも発見(つまり取締役になって収入が倍になるとか、知らない伯母さんの遺産が転がり込んでくるとか)しない限り、その苦行から35年は帰ってくることはできず、冒険が首尾よく達成されたにしても、残されているのは、古びたマンションの一戸のみなのだ。
 しかもその冒険は「明日は昨日の続き」という空想に基づいている。それが崩れると、氷原や密林の中を地図も持たずに迷い続けることになる。そんな勇気は私にはない。逆に私の空想は「今日と明日には明確な断絶がある」というものだ。
 そして実際はどうだったろう。もしさらに10年ぐらい前、つまり今から20年ほど前に500万円ほどの頭金で、5000万円程度のマンションを買っていたとしたら、まさにぞっとする冒険が展開するのだ。当時の5000万円のマンションなら、せいぜい50㎡程度だろう。今よりも金利が高かったので、賃貸の家賃程度を毎月返していったとして、10年経っても残金はまだ4000万円以上なのではないだろうか。のちに公庫融資や厚生年金融資などを銀行ローンに借り換えられても、まだ25年の辛く長い道のりが残っている。頭金と10年のローンで支払った額の合計は2300万円程度と思えるが、その時のマンションは、たぶんその総額以下の資産価値しかない。しかもローンの残高はまだその倍額近いほど残されている。早い話、そのマンションを売却しても、そのマンション価格分のローンが残されることになる。こういった事例はここで書かなくても、マスコミで数限りなく紹介されている。これはタイミングの悪さと、たぶん先見性が少しだけ欠けていたことがもたらした悲劇なのだ。
 ああ、ほんとうに冒険家でなくてよかったと、私は思っている。