十年前の住まい探し04

oshikun2010-01-31

 いろいろと「増殖する」モノ 
 ええと、予定に反して小難しい「ゴタク」が続いてしまったが、それも今日で終わりなので、お許されませ。
 さて、もしマンションを購入しようとして、幸いなことにその全額、例えば5000万円がすでに手元にあるとしよう。それはそのまま一戸のマンションをキャッシュで買うことができるが、それはまた銀行などに預ければ、それなりの利子を生む。昨今の利子は唖然とするぐらい低いのだけれど、1990年頃までの定期預金や定額預金の金利は年率5パーセントもあったのだ。つまり5000万円あれば、単純計算で税を引いて年間200万円も「増殖」していた。これで5000万円ほどのマンションの賃貸費用はほぼ捻出できるのだ。
 それでもバブルの時代は「明日は今日よりデカイ」とばかりにみんなが住宅、特にマンションを買っていく。当時の4000万円のローンは完済時の総額は6000万から8000万にもなったことだろう。庶民の財産が「増殖」する以上に庶民の「借金」は「大増殖」するのである。
 もちろんこれは昔の話。1990年といえばバブル絶頂期で、利子はバブル崩壊とともに急速に下落する。その後の低金利政策は、まさに疲弊した経済を支えるための政策であり、虎の子の預金を預けていた庶民には、まったく責任のない災難なのである。
 とまあ、ボヤいてもしょうがない。ここ20年近くの低金利政策も、これだけ長いと日常になってしまうほどに異常な事態であり、その間、本来家計に入るべき膨大な利子が犠牲になってきたことだけは押さえておきたい。
 そんなことで現在、庶民的な財産はほとんど「増殖」しない。元本保証の割と率のいい金融商品でもせいぜん金利は1パーセント止まりで、5000万円も税引きで年間の利子が40万円程度にしかならない。この傾向は今後も続くだろう。日銀の低金利政策だけに飽き足らず、自動車産業を経済の根本として未曾有の減税政策で支えているのだから。
 ということで、オモロイ結語にはトンと結びつかないが、資金、もしくは「借金」はその時代と状況によっていろんなカタチで「増殖」することを、住まいについて何らかの決断をする時には思い出した方がいいだろう。
 ちなみに最近はあまり見ないが、新聞広告の片隅に小さな中古マンションの広告がズラリと並んでいたことがある。そのひとつひとつに曰く、築15年・50平米・2400万円・居住中・賃料10万・利回り5%、などと描いてある。なるほどこれはまさに投資用のマンションで、単純にいえば2400万円の資金で5%の利子が付くよ、とのことなのだろう。もちろん「元本保証」ではないけれどね。