消えたロケット設計図

数日前、テレビのニュース解説を見てかなり驚いた。
解説の内容はアメリカの宇宙開発に関するもので、オバマ政権は今後の計画を抜本的に変更し、有人月着陸計画を止める。よって新型有人ロケットの開発を止める。よってスペースシャトルを止めるのをとりあえず止める。よって国際宇宙ステーションを今後とも活用する。というものだったが、これ自体は驚くことではない。
ブッシュの息子大統領による国威高揚宇宙計画を、スパッと切ることは十分に予想されたことで、評論家の松浦晋也さんのブログでもこの変更を概ね評価しているようだ。私が驚いたのはこの後の解説者氏の言だった。
彼によるとアポロ計画の遂行で養われたはずの開発力や技術力は、まったく引き継がれておらず、当時のサターンⅤ型ロケットの設計図も残ってはいない、というのだ。開いた口が塞がらない。
 以下は、素人考えである。素人ゆえに新しいロケットなんて造る必要はなく、サターンで月着陸は事足りると思っていた。しかしもうそれを製造することができないというのだ。つまり1960年代の半世紀も前の総合的な技術力を、アメリカは持っていないことになる。アポロ宇宙船に積まれたコンピュータは、現在の家庭用パソコンにも劣るとよく揶揄されてきたが、なんとその揶揄するものも造ることができないとは・・・。
 そこでさらに素人考えによる提案。
 確か当時サターンは「20本」作られた。もともと月着陸が当初アポロ20号まで予定されていたが、それが縮小されたので月着陸は17号まで、あとはソユーズとのドッキングに一本、スカイラブ計画に一本が使われ、残りの一本がケネディ宇宙センターに保管されているはずだ。今の技術屋さんはそれを「発掘」して、パーツのひとつとひとつを研究してみたらどうだろう。そしてまたそれを組み立て直して、20本目の果たせなかった月への夢を、半世紀後に実現させてもらいたいものだと思う。これではまるで『宇宙戦艦ヤマト』ではないか。そういえば、海洋堂の方がしっかりとした設計図を持っているかもしれない。NASAの担当者はぜひ海洋堂に電話してみてください。
★写真は食玩のロケット群。手前が通常のサターンⅤ型。たぶんペイントの仕方でアポロ何号が分かるはず。真ん中が発射台を離れるサターンⅤ型ロケット。奥は三段目を小型宇宙ステーション「スカイラブ」に改造した際のサターンⅤ型。