十年前の住まい探し09

oshikun2010-02-09

 近所さんにもご挨拶
 鷺宮の物件の次に見たのは、マンション「東中野A」である。東中野駅周辺には、住んでいた賃貸マンションから自転車で5、6分なので、よく買い物や食事などで出かけていた。しかし東中野の新宿側、しかもその南側の改札には行ったことがなかった。その改札からすぐの空き地に今回のマンション「東中野」のモデルルームがあると聞き、私はキコキコ(自転車をこぐ音)と向かった。
 最初の受付で、まず名前と住所を書けという。前に見た物件では一通り話が終わってからだったので、応対した女性に横柄に出てしまった。反省である。何かこう、ゴージャスなその場の雰囲気が、キコキコとやって来た自分にそぐわないのではないかという、ひがみ根性だったのかもしれない。
 実際にパンフレットを見ると間取りもまたゴージャス、というよりもかなり凝っている。普通の田の字型の物件はほとんどない。平凡に見える間取りにも、中空のスペースを貫いたりして部屋の中に光を導いたりしている。図面で見る限りでは、ちょっとしたデザイナーズマンション風である。さらに駐車場も「鷺宮A」や「鷺宮B」のように外に無造作にリフト式で設定されているのではなく、半地下式なのである。
 物件のお値段は床面積に比較して、鷺宮のそれらよりも割高になっている。まあ東中野という立地を考えれば当然なのだけれど。
 さてでは実際にはどんな感じの物件で、どんな場所に建っているのかなぁ、とまた自転車でキコキコと走っていくと、建物はほとんど出来上がっていた。東中野駅から中野駅方向に線路沿いの北側を歩いて6、7分。自転車ではすぐ。そこを右に折れると早稲田通りの南側にある。
 周辺は住宅地なのでこの物件も低層マンションなのだが、ほぼ北側の早稲田通りに面した土地には高層マンションが建っているので、北側に大きな壁がそそり立っている。それがこの物件の最初に見た限りでの最大にして唯一の問題点だろう。とにかく全体として個性とグレードが高い。
 普通、分譲マンションには価格の序列があって、それに物件が対応している。つまりグレードの順列がほぼできあがっているのだ。よって可処分所得順に自分の買える物件が、最初から明確にわかってしまう。しかしこのマンション「東中野A」は、価格のグレードがそのままオーナーの所得にリンクしない。それぞれの物件が個性をはっきりと主張し、価格は後から付いてくるという感じなのだ。これは実に瓢箪からコマ的なコンセプトである。買い手を大いに悩ませるニクイ物件であり、悩むことがそのまま楽しいという物件であることは間違いない。