男の子の訴え
とある場所で受付を待っていると、一席おいた左に、男の子を抱いた母さんが座っていた。彼女が呼ばれて席を立つと、男の子は必死に何かを訴えている。彼らが座っていた椅子を見ると、そこにはミニカーが残されていた。しかし母親は気づかない。私は立ち上がってミニカーを男の子に手渡した。すると母親は私に丁寧にお礼をいうのだが、返す刀で男の子を厳しくしかっている。
「ダメじゃない。しっかり言わないと・・」
いや、しっかり言っていたのだけれど。
とかく男の子の訴えは、女子に伝わらないものなのだ。
帰り際、母親はまた私に会釈をしてくれた。私もそれを返した。しかし男の子は涙目になっていた。ガンバレ。
★タイトル横の写真は、S2000のミニカー。男の子はたぶんフェアレディZのカブリオレを持っていたはずだけど、ウチにはこれぐらいしかないんで。