ドン・キホーテが飛び出してきた。

oshikun2010-08-06

『小説世界のロビンソン』(小林信彦
 かなり以前にこのブログで紹介していながら、やっと先日読み終えることができた。いやいや氏の知識というか、想像力というか、そういったものの豊穣さを、いまさらながらに感じさせる一冊ではあった。特に世の名作群を、自身との体験とのからみでつらつらと描いていくことの「信頼性」は高い。
 しかし、やはり引き込まれるのは外国文学に関しての記述、特に同時代のそれには魅了される。そういったことはまた、読み手自身の好みを再認識させてくれる一冊であるのかもしれない。
 さて、とある日に私は、初めて『ドン・キホーテ』といっしょにこの本を鞄に入れて外出した。(映画『惑星ソラリス』の解読のためだけど、それはまた別の話)
 で、『小説世界・・』を開いて驚くことになる。そのページに氏は「『ドン・キホーテ』こそは、有名でありながら読まれいない小説である」という意味のことを書いているのだ。むむむ、まるで私のこれからが読まれているかのようである。だから是が否でも読んでやろうじゃないかと思ったのだ。そしてそう、意外とどんどん読ませるのです。序文はチトうっとうしいけれど。いやこれは『ドン・キホーテ』の方の話です。