朝日のNYを刑事がIVでカッポって

 またまたピアニストがリーダーの三枚をご紹介。
★TIME OUT THE DAVE BRUBECK QUARTET
 こちらはリーダーがピアニストですが、演奏のメインはサックスのポール・デスモンドです、っていってもいいかなぁ。三曲目のテイクファイブはきっとどこかで聞いたことがあるはず。どちらかといえば室内管弦楽的な雰囲気をもつグループで、構成力で勝負といったところ。でもアドリブはだめよって感じです。
 なんとなく60年代のニューヨークを、アイビーにボタンダウンシャツで闊歩する情景が浮かんでくるアルバムです。

★SONG FOR MY FATHER THE HORACE SILVER
QUINTET

 ドロっとした感じを前面に立てて、かつ軽快なカリビアン音楽といった風。特にタイトル曲は絶品。ホレス・シルバーは、ニューヨークではなく、カリブ海の小島で太陽を浴びながらピアノを弾いているような感じです。技術的なことはわからないけれど、その演奏の仕方って、ちょっとハービー・ハンコックに影響を与えたかも。曲によって明る過ぎるのが問題か。日の光もギラギラ過ぎると、お肌に良くない。
ただしタイトル曲は絶品、スタイリッシュな刑事ドラマのタイトルバックにぜひ流して欲しいなぁ。

★KELLY BLUE  WYNTON KELLY
コケティシュな一曲目は無視して次の曲をじっくりと楽しんでください。そのタイトル「朝日のようにさわやかに」は小生の大好きなスタンダードナンバーのひとつ。川本三郎さんの処女作の著名でもあります。まさにモダンジャズのショーケース的な一枚。ウイントン・ケリー、ポール・チェンバースジミー・コブナット・アダレイ、ボビィ・ジャスパー、ベニー・ゴルソンというきら星のブレーヤーが、それぞれその才覚をいかんなく発揮しています。
 いま突然気が付いてしまったのだけれど、川本さんの『朝日のようにさわやかに』って、痛烈な皮肉が含まれているんじゃないかな、いやホント。