池袋好日
御茶ノ水からの帰り、JRには乗らずに丸の内線で池袋へと向かう。西口公園で行なわれている古本市を覗いてみたかったからだ。
なぜ丸の内線を使ったかというと、JRで途中下車してしまうと、なんかもったいないように気がするからだけど、さて得だったのだろうか。
古本市はなかなかの規模だ。背表紙を伝う視線がどうしても速くなってしまう。最初から文庫本を眺めるのは諦めた。立っている位置からだと、タイトルを読むのはチト疲れてしまう。
客からの依頼が、事務局から各店舗へアナウンスされる。
「村上春樹のピンボールとかいう本、あっ、文庫本だそうです」
「華道の本をお願いします」
今日はいい日だ。
で、単行本だけをツツツ、と見るわけだが、その引っかかり方がおもしろい。なんにも意識していないのに、こんな速さでもちょっと関心がありそうなモノには、どうやらキチンと視線がストップするのだ。でもこの「捕獲率」がどのくらいかはわからないよね。
しかしほんと背表紙を過ぎる視線の動きが速くなってしまった。それはそのまま、気持ちの余裕のなさの現われなのかもしれないなぁ。
さて、最初に視線に引っかかったのは『ヴェガ号航海誌』、すると近くのプレハーノフに関する本と四方田犬彦さんの本も目に留まる。しかしすぐに買いはしない。他の店もぐるりと見てから、最終結論を出す。だから、どこで売っていたかをいちおう憶えておかないといけない。もしその間に売れてしまったら、まぁ、それはそれで縁がなかったと判断。
昔は一軒の古本屋さんで何冊も欲しい本があったりすると、少しだけ棚から出しておいて、一巡してから買ったりしていた。でも古本市ではそうもいかない。
でももちろん、「わーい、こんなのがあった」というときにはすぐに買ってしまって、その重さを抱えつつ、「捜索」を続けるけどね。
で、そのあと、ワイマール共和国に関する本、小林信彦さんの本、ロケットに関する本など、いいなぁ、というのが数冊。でも結局、最初の三冊だけを買って帰るという結果に。
実をいうとワイマール関係の本には再会できなかったのだ。うーむ。
さて、『ヴェガ号航海誌』には地図が二枚入っている。読むのは少し先になると思うけれど、そのときはきっと、この地図をどこかに貼りながらということになるだろうな。
といいつつも、今夜、最初の方を読んでしまうかも。