三冊千円の重み
先日、御茶ノ水に用事で出掛けたついでに、神保町で開催されている神田古本祭りをのぞいてみた。
少し前まで神田の古本市といえば、近くに空き地を見つけて、そこで開いていたはずだけど、今回は靖国通り沿いの、まさに古書店が並ぶ歩道に店が並んでいる。たぶんこの辺りにはもう空き地なんていう、シャレたものは存在しないのだろう。
平日だったのに、かなりの人出。そしてやはりかなりの年配。その念の入った漁り方には、ただ敬服する。何軒あるかわからない出店に並べられた本の一冊一冊を、まさに舐めるように吟味していくのだもの。若輩もののわたくしとしては、ただ彼らの隙間からチラリと本を眺めるだけです、はい。
そんな感じで流していると、とある古書店がガレージセールと銘打って、まさにガレージらしき場所で、安売りをしている。
で見つけてしまったのが、一冊でも二冊でも三冊でも千円というコーナー。その中に、今を遡ること四半世紀近くに発行された集英社の「世界写真全集」があるではないか。当時の定価は一冊3400円。
「何冊かは持っているけど、この三冊は買っていないなぁ」
ということで、早速購入してしまった。しかしこれが重いのだ。今考えれば、その店でしばし預ってもらえばよかったけれども、そのときは、もうこれで十分、とっとと帰ろうかな、といった気分でもあったのだ。
でもとにかくは出店がどこまであるのか見てみようと、靖国通りを九段方向に、えっちらおっちらと歩き続けたのだった。(この項続きます)