前哨戦は勝利

(昨日の続き)
 手術の日程が決まると、あとは血液検査をしなくてはいけないとか。で、病院の中の採血コーナーへ。奥まった廊下のような場所をやっと見つけて、左手を出す。若い女性の看護師である。はたして彼女はここに座って、一日中ひとの血液を採取しているのだろうか。
 でもまあ血液検査なんて毎年やっているから、平気の平左でいたら、これがなんとも痛い。うーん、採血歴中最高の痛さである。それが顔に出てしまったのか、それとも彼女が自分のミステイクに気がついたのか、
 「痛い・・ですよね」という。
 きっと後者だと思う。男子たるもの、にわかに苦しさを顔には出したりしないぞ、たぶん。
 そしてカルテを会計に戻して、しばらくすると、あの板チョコ状の表示装置に診察料などが出てくるといった按配。ただし支払いは機械にではなく対面式で、そのドタバタやっている間に、どうやら薬の準備ができているシステムのようだ。外の薬局にわざわざオーダーして、また何十分も待たなければいけない病院とは大違いである。
 手術は一週間後となった。
 その間、絆創膏を貼っていた小さなイボは、それを剥がすと赤い点を残しつつも、すでにイボとしてのアイデンティティを失っていた。お腹と首筋の大きめなイボも 日々縮小の過程にあるようだった。そして首の下の赤い丸い部分も、どんどんと色が落ちていくのである。
 ということで、とりあえず今回の皮膚科前哨戦は勝利をもって終了したことになる。 
 ただし、本戦がしっかり待ち構えているのではあるが。
(この項目まだ続きます)