京都ぺっぽこ珍道中 その三

 東山は坂の町である。
 闘ってしまったバス停から、そのまま東へ行くと坂道になる。そこをコロコロをガタゴトいわせながら昇る。すると昇り切ったあたりの左手に、石塀小路に通じる入り口がぽっかりと開いているのをツレが見つけた。
 「あっ、ここよ。ここ」
 なにやらかなり狭い道である。なるほど風情があるなと思って進むが、途中でどこかの店先や高台寺の近くに出たりと、目的の宿屋が見つからない。オマケに天気雨が降ってきた。
 ツレはどんどん歩いて探そうとするが、私はまず地図を見ようとする。
 しかし、はい二人の協力の賜物として無事宿屋は発見できたのでした。
 拍手パチパチ。(この京都旅行の書き込みは検閲が入るのである)
 そして宿に荷物を預ける。
 この宿については話題が山とあるので、その機会にじっくりと書きたい。
 そしていよいよ待ちに待った昼食である。ツレは祇園に行くつもりだという。祇園といえば古い映画、溝口健二監督の「祇園囃子」ぐらいしか思い浮かばない。もちろんリアルタイムで観てはいませんよ。なんたって1953年制作なんだから、生まれてもいない。しかし若尾文子はかわゆかった・・・。
 えーと、さてそんなわけで、身の軽くなった二人は祇園へと歩く。
 目的地は茶寮・都路里だという。そんな店はぜんぜん知らなかったが、どうやら甘味処だそうだ。あーあ、まあ食べられればいいか。
 でも見つからない。どうやら現在は店舗を改装中で仮店舗で営業していると、なんとガイドブックにも書いてある。私たちは修学旅行の中高生に混じりながら、店を探す。裏路地まで足を運ぶが見つからない。
 「もういいか、そこのうどん屋で。いま坊さんが出てきたから、きっとジモチーにも人気があるんだろう」といい加減なことをいって、うどん屋に入ろうとしたが、ツレは諦めかけつつも、不満げである。
 ではまたもう一回、探そうではないか。
 ということで、地図を見ながら歩くと、なーんだということになる。ちゃんと地図どおりの場所にビルがあって、件の店はその中に入っていたのだ。ちょっと正面の看板がわかりにくくて、素通りしてしまう客も多いに違いない。
 そしてその店のある二階に上がる。
 「お二人さまですね。こちらにどうぞ」と席に案内される。
 私たちはテーブルではなく、窓辺のカウンターを選んだ。
 その道すがら、店内を眺めると、まさにそこは女の園、ひと目見ただけでは、数十人のすべてが女に見えてしまった。
 「あー、みんな女の人じゃないか。こまったなぁ」
 などといいながら、カウンター席に座ると、左横の席には、アキバ系の男性が巨大なパフェを飲んでいて、ジロリと私を見るではないか。聞こえたらしい。しばし緊張の一瞬。
 しかし彼はパフェを飲みきると、静かに席を立っていった。やれやれ。
 メニューを見ると、当然のことに甘いものしかない。で、季節限定の品を注文した。ええっとあれはなんていったっけ。★迷い込んでしまった石塀小路へのかなり狭い入り口。見にくいけれど、写真の左側の街灯に石塀小路と書いてある。