京都へっぽこ珍道中 その十六

 坂本龍馬たちのお墓を見て、次は清水寺というベタなコースになった。そこで私が地図を広げたが、ツレはどんどんと歩いていく。どうやら道を知っているらしい。だから、任せることにした。
 オーソドックスに、二年坂、三年坂、それに清水坂というコースである。ほんとうにいい天気で、ダウンジャケットは荷物になってしまうけど、手に持つことにした。しかし、京都観光ってこんなに坂を上るものとは思わなかった。
 再び地図を見れば、散策するのは京都盆地の東の縁に沿ったポイントばかり。当然それらは坂で繋がっているのだ。京都観光というと、アサハカにも平べったいところを歩くものと考えていた私が悪かった。
 でもまあよし。平べったいところは、もう少し歳を取ってからでもいいだろう。 
 ということで、坂をぐんぐんと上る。両サイドの店もよし。その辺にたむろしてアイスクリームを食べている高校生を追い抜く。修学旅行の記憶がよみがえってくる。
 一汗、ふた汗かいているうちに、清水寺の境内に入ったようだ。托鉢のお坊さんが、人の流れの中、棒杭のように立っていらっしゃった(失礼)。拝観料を払って入るのだけれど、入り口のおじさんは、それをチェックするそぶりを見せない。ちょっと損してしまった気分。
 おおっと、この三重の塔には見覚えがある。私が修学旅行でこの塔をバックにして、友人Kを撮った写真がどこかにあるはず。でも探しはしない。この歳月による彼の頭部の変化を考えると、それはまた気の毒でもある・・・・のだ。
 と思い出に浸りつつ、あの清水の舞台に到着。ああ、あの時のままである。記憶というのは不思議なもので、自分では憶えていないつもりでも、その場に来ると、何かのスイッチが入るように、それが鮮明な記憶として甦ってくるのだ。
 何も旅先ばかりでなく、昔読んだ漫画やテレビドラマ、それに映画なんかにもいえること。ということは、今回の旅行でまた記憶のストックが増えたことになる。
 あの湧き水の列は短かったけど並ばない。帰り道に舞台の下を通る。そこから見た方が、この建築物の威容が実感できる。この記憶は残念ながら見当たらなかった。きっとここを歩きながら、何かをただくっちゃべっていたのだろうな。
 また入り口近くに戻ってくると、ほとんど同じ場所にさっきの托鉢のお坊さんが立っていました。★はい、こちらもベタな清水寺の写真。清水の舞台の傾斜に影響されて、水平方向が狂ってしまいました。
★こちらは下から見上げた写真。威風堂々たる構造がちょっとわかる。