京都へっぽこ珍道中 その二三

 昨日、アップした写真の建物、調べてみました。あれは大雲院という寺の祇園閣とのこと。そういえば祇園祭の鉾に似てますね。この建物自体は昭和の初めの建立なので、比較的新しいけれど、この寺はもともとは高台寺に属していて、なんとこの建物の近くには織田信長石川五右衛門の墓があるとか。でも信長って骨も見つかってないはずだよね。残念ながら通常は非公開だという。
 さて、「やよい」で御飯のお供を買い終えて、いよいよ荷物を取りに田舎亭へと向う。夕暮れは迫っていた。
 でも途中でちょっといい感じの手ぬぐいの店を見つけて、入ってみる。名前は迦陵頻で、カリョービンと読むようだ。確かそんな音楽ユニットがあったような。
 その店の手ぬぐいは、いろいろと工夫を凝らしたデザインで、思わず何枚も買いたくなるのだが、残念ながら、それを使う習慣が私にはない。ということで、文庫本用のブックカバーを自分へのお土産として購入。税込み1365円也。この店は他にも漆や香、そして古美術を扱っているけれど、そちらはとても手が出ない、というかわからない。
 そういえば「やよい」の近くにある「京・ばん」という瀬戸物屋に入ってみたら、「菊乃井 露庵」で出てきたモノと同じような皿があった。私が買うにはもちろん○の数が多すぎたけど。
 そうこうしているうちに田舎亭に着く。
 なんと、荷物は預けた場所にそのまま置いてあった。宿の人に預けたのだから、少しは奥に移動してくれたのかと思っていたが、そんな配慮はなかったようだ。
 それは玄関の近くで、来訪者がそのまま手を伸ばせば、簡単に持って出られる場所なのだ。
 たぶん宿の人はこの荷物にまったく手を触っていない。一ミリたりとも動いていない。というのも、その荷物(コロコロ)をそこに上げるときに、いっしょについてきた庭の小さな土が、そのまま近くに落ちていたからだ。
 玄関で来訪を告げた。
 「すみません、荷物を取りにきました」
 でも誰も出てこない。私は黙って自分の荷物を引き上げた。
  確かに宿の人は「お預かりします」といった。しかし預ってはいなかったということになる。万一無くなっていたらどう対応するのだろうか。そういえば、「貴重品はお持ちくださいね」という決まり文句もなかった。大したガイドブックMの印ひとつではある。
 ツレはスッチー出身の女将さんに会いたがっていたが、もちろん彼女の姿は最後まで見ることはなかった。きっと特別な客以外、彼女がお出ましになることはないのだろう。
 私はただ黙って田舎亭の木戸を閉めた。もう二度とこの木戸を開けることはない。
追記:先ほどテレビを観ていたら、BSの京都の庭園を紹介する番組のなかで、あの蜘蛛のような重機と同じようなものが、醍醐寺の池の補修に活躍していました。

★ボタンをデザインしたものなのか、私が買ったブックカバー。ちなみに包まれた本は鶴見俊輔さんの『期待と回想』。
★やよいで買った「ちりめん山椒『おじゃこ』」。100gで1050円也(税込み)