これ、取れますか。

ひさしぶりに病院通い話の続き。

 左腕を切開して、脂肪のかたまりを取り除いた話は、だいぶ前に書いたけれども、実はその続きが、まだほんの少し残っているのだ。
 私の腕から取り出されたシジミのような肉片を見て先生は、ほとんど何の心配もないよといったけれども、やはり検査には回されていた。で、先日、その結果発表を聞きにノコノコと病院に行ってきた。
 やはり「特に問題なし」。
 先生も、そのシコリを摘むと痛いということが、やや気になっていたのだが、分析の結果、シコリの中に血管が通っていたので、痛みが生じていたのだということがわかった。診断と検査結果がマッチしたので、先生も満足、満足といった体。
 そのシコリの状態の名前を、先生はメモ用紙に書いてくれたのだけれど、私はしっかり忘れてしまった。その紙、もらってくればよかった。
 で、先生はもうこれで終わりかな、といった雰囲気だったので、長年にわたり、私が気にしていることを相談してみた。
 私の鼻の横には、ホクロがあるのだ。子どもの頃には小さくて、かわいいものだったが、それも中年にさしかかると、こんもりと盛り上がってきている。こんなに長い間付き合ってきたので、悪いものではないだろうが、簡単に取れるのなら、取ってしまいたいなぁ、と思っていた。
 特にこの病院にはちゃんとした手術室もあるので、街の病院よりは、いろいろと施術ができるだろうことも考えて、私は先生に恐る恐るながらも、いってみることにしたのだった。
 「これなんですけど、取れますかね」
 と、私が鼻の横にプチっとあるホクロを指差すと、先生は私の顔にホクロがあることに初めて気付いたかのように、指で触る。
 「ああ、これね。悪いものではないですね。でも取れますよ」
 そう聞いて、私はちょっと安心した。
 「実は私はぜんぜん気にしてないんですけど、ツレができれば取った方がいいなんていうものですから・・・」
 とまたツレのせいにしてしまう。
 「いやホント、本人は見えないから、気にならないけど、いつも見ている人の方が気にするってこと多いですよ」
 と、こちらの意をくんでくれる。
 「じゃ、取りましょうか。で、どんな風に取るんですか」
 私がそう聞くと、先生はまたメモ用紙になにやら絵を描き始めるのだった。