ちょっと痛いかも

(23日の続き)
 さて、予約した日に病院に行く。と、案内されたのは診察室の隣の処置室だった。
 なーんだ、手術室ではないんだ。ちょっと安心はしたけれど、あのマスク美人の看護師さんに会えないのは、かなり残念ではある。
 とにかくこの処置室で、長年に渡り付き合ってきたホクロとさよならすることになった。果たして私はどんな顔でここを出ることになるだろう。
 そこのベテランの看護師さんから、金属製のモノを取ってカゴに入れて、処置台(というのだろうか)に横たわるようにといわれる。だから携帯電話やベルト、さらには磁気カードもまずかろうと、財布やカード入れも取ってから、上向きに寝転がる。
 すると先生の登場。いつ見ても、テレビドラマ「相棒」に出てくる鑑識役に似ている(今度、名前を調べておきます)。
 「あっ、どうも」とお互いに挨拶をする。
 看護師さんは毛布みたいなものを私に掛けてくれる。いや、寝るんじゃないから、いいのに。さらに尻の下に板のようなものを差し込む。こちらからは上しか見えないので、何をされているのかわからない。後で考えると、この板は、だぶん電極か、アースのたぐいなんだろう。おっと、金属製といえば、その近くにパンツ(つまりスボンね)のジッパーがあるではないか。ナムサン、ここがショートしませんように。
 次に処置台をずいぶんと高くされてしまう。その方がいろいろと作業がしやすいのだろう。でもなにせ私がどうにか納まっているほどの狭さなのだ。ちょっとでもずれるとそのまま下へ落下してしまいそうで、コワイ。
 そして最後に顔に穴の開いた紙を被せられる。いよいよ始まるのだ。
 しかし、しまった。どんな手順でその「切除」が行なわれるかを聞いていなかった。削っていきます、なんていっていたから、ナイフで少しずつ取っていくのかなぁ、それとも液体窒素で固めて、それをクリッとピンセで引きちぎったりするのかなぁ。
 紙を載せられているので、先生の手順や行動がまったくわからない。まさに、まな板の鯉。
 すると、周りでなにやらトラブル。ベテラン看護師さんが足に何かをぶつけたらしくて、私の下の方で転んだか、こけたかしたらしい。おいおい。
 そんなこんなで全身を緊張させている私に先生はいう。
 「最初、ちょっと痛いかもしれませんよ」
 おっと、注射である。腕のシコリを取ったと同じように、局部麻酔をするようだ。当然、インフルエンザの予防接種のように、ほとんど痛くないというわけにはいかない。まずチクリとして、次にぐぐぐと痛みが走る。私は心の中だけで、ううう、くくくく、と唸りながらその痛みに耐える。
 「何か、あったらいってくださいね」
 あの、痛いんですけど、とはたぶんいってはいけないんだろうなぁ。冷たいものが顔に入ってくる感覚。その一部は顔に垂れてきている感覚。やがて注射器が外されて、本番が始まる。
さて、どうやって「削る」のだろうか。でも私からはそれを見ることができないのだ。