街角の動物たち02


 鯨である。どうやらマッコウクジラであるらしい。
 自宅近くの公園には子ども用のプールがあって、夏の間はにぎわっているのだが、それ以外の11ヶ月弱はそうとうにひっそりとしている。ここのプールサイドには三匹の水と仲のいい(?)生物がいるのだが、彼らもまた寂しそうである。
 この鯨はそのウチの一匹、というか一頭なのだ。しかし鯨というと、なぜかマッコウクジラをイメージしてしまうらしい。決して最大級のシロナガスクジラではないのである。これはいったいどうしてなのだろうかと、ルル(風邪薬ではない)考えるに、これは映画『白鯨』の影響なのではあるまいかという結論に勝手に達したのである。
 しかし艦長グレゴリー・ペックや乗組員リチャード・ベースハートはすでになく、いにしえの名作も、人々の記憶から消えつつある昨今、マッコウクジラの地位は不確かなものになりつつあるともいえる。
 と書いていて、突然思ったのだが、「長じて」提督として原子力潜水艦シービュー号に乗り込んだベースハートだが、あのドラマの中にはシービュー号がマッコウクジラと闘う回はなかっただろうか。もしあったとすれば、そこでエイハブや他の乗組員のかたきを取ったことになるかも。いややはり白い鯨じゃなくちゃダメだね。
 ええと、話を元に戻すと、さらに昨今の自然科学番組などで出てくる鯨といえば、なぜかナガスクジラ等のおとなしい系が多い。そこでクジラとは凶暴なそれではなく、母性愛豊かで人にヒーリング効果をもたらす動物ということになる。
 かくして、イメージリーダーとしてのマッコウクジラ危うしなのである。