その日の午後 06

 ツレは自分の実家には帰らず、いっしょに私の実家に泊まるという。この実家は現在無人で、居住環境はあまりよくないのだが。
  着いたのは10時頃だろうか。記憶が定かではない。実家の被害はほとんどなかった。玄関の木彫りの人形がふたつ下に転がっていたのと、仏壇の中のものが、前に少し倒れていた程度だ。ひと仕事しなくてはいけないと覚悟していたので、これはうれしかった。
 居間を暖かくして、テレビを点けると、信じられない映像が流れていた。それを見ながら、無言でコンビニで買った食糧を喉に流し込む。ストーブのスイッチを入れると、すぐに余震が襲い、慌ててストーブを消す。それを何度も繰り返した。部屋にぶら下っている照明が面白いぐらいに揺れている。テレビを点けたまま、私たちは明け方、十数分刻みの眠りに就いた。


 翌日、マンションの管理人室に電話を入れると、エレベーターは2台あるうちの1台は動いているという。私たちは近くのホームに入っている私の父に挨拶をして、自宅へと向かった。