窓の外では桜が揺れる

 昨日書いた仙台の不思議な閃光は、アレではなく変電所が壊れたときの光だったようです。お騒がせしてすみません。そのことをニュースが何度か伝えていたけど、たぶん「あれはいったい何?」という問い合わせが多かったからなのだろうな。
 さて、昨日と今日は近くの図書館に、自分の本を持って出掛けました。持参したのは、大内力さんの『経済学体系 帝国主義論・上』(東大出版会)です。
 アカデミックな理路整然とした本が、かすかな眠気とともに、意外と気持ちを落ち着かせてくれるのです。ご存知のように大内さんといえば宇野経済学の大家で、この体系は彼の集大成として編纂されたものです。
 宇野経済学は経済学の分析手法を、段階論、原理論、現状分析の三つの段階を経て行なう点に特徴がありますが、今回の『帝国主義論』はその段階論で分析すべき、重商主義自由主義の経済体制を解明した上で、現在の国家独占資本主義に連なる帝国主義の解明を進めています。などと書いても、なんのこっちゃかもしれませんが、桜の木が窓の外で揺れている、やや暗い図書館で、そんな字ズラを追っていると、ほんの少しだけ別の空間に自分がいるような気分になるのでした。
 本ではまず方法論がくどくどと述べられ、先人の帝国主義論が紹介されます。そして重商主義自由主義の典型として取り上げられたあと、やっとイギリスの羊毛産業の解説に入りました。おっと、これはまさに小説『大聖堂』の世界だな、と思ったところで午後5時、で、なんと図書館員から追いたてられました。4月から節電のためにこの時間で閉館なのだというのです。うーむ、これだけの人を追い出したら、家で消費する電力の方が大きいと思うのだがなぁ。