沖縄スタコラ・ツアー02

 さて、3月14日、スタコラと東京を後にして、沖縄のホテルに着いたのが午後の6時過ぎ。羽田で一便早くしたおかげで、あたりを散策できる時間だった。
 国際通りは、十数年前とは大きく様変わりしていて、まるで竹下通りの道幅を広くした感じ。同じような土産物店が「これでもかぁ」と立ち並んでいる。それに辟易して、かつて訪ねた市場通りを見てみたくなる。そこでただひたすらに歩く。国際通りって意外と坂道だったんだと、加齢センサーがリアルに働く。
 どうにか市場通りに曲がるあたりに着くが、ほとんどの店はたったいまシャッターを下ろしたといった風。まあしょうがない。ただし、入ってすぐのジューススタンドの女の子二人が、コーラスグループのように、「おいしいジャースはいかがですかぁー♪」と歌ってに売り込みして、心地いいのだ。うーむ、飲めばよかった。
 そうそう、夕食がまだだった、と気がついて、当たり障りのなさそうなステーキ屋に入る。おっと、リーズナブル。御飯やカレー、もちろんサラダもお代わり自由なので、これなら一日二食で過ごせそうだ。ホテルに戻るとロビーのソファでは女子学生が爆睡していた。まあここの方が部屋よりも安全なのかもしれない。同じフロアで学生たちが騒いでいたので、注意してみた。4、5人の中の一人ぐらいはまともなのがいるようで、少しだけ間があったがやがて静かになった。でもただ酔いつぶれただけなのかも。
 ホテルの窓から国際通りのネオンがチラリと見える。でも9時を過ぎると喧騒とともにそれも消えていた。テレビには地震福島原発のニュースが流れ続けている。遠くにいることの罪悪感と安心感。そして深夜にはキース・ジャレットのピアノ・ソロ。
 翌朝はよくあるバイキングスタイルの朝食。ここはビジネスホテルに毛の生えたような宿だが家族連れが多い。それと学生の卒業旅行だろうか。さて、その朝食だが、ロコアナハのそれは褒めていいほどのバリエーションが豊富だ。普通、バイキングというと、洋食か和食に二分割されて、それも選ぶというよりただ並べるといった体を多いでしょ。でもここは迷うという贅沢ができる。それもそこそこにウマイ。だからもし連泊をしても飽きるということは、あまりないだろう。
 さて、腹がくちたあとはまた散策。今度も市場通りを目指すが、コーラス娘の姿はなく、二人のおばさんがジュースを売っていた。さらに進んで、牧志公設市場に入る。前にも書いたけれど、ここには沖縄の食材が揃っている。まるで水族館のような鮮魚売り場に眼を奪われる。お決まりのように、豚の頭をドーンと置いた精肉店も健在だった。
 ツレは魚屋のおばさんと仲良くなって、いろいろと話し込んでいる。見ると売り場の片隅が水槽のようになっていて、ハリセンボンが一匹そこで泳いでいる。おばさん曰く、売り物になるほど大きくなかったので、ここで飼っているとのこと。事実、数日あとにまた訪れたけれど、ハリセンボンくんは元気に泳いでいた。
 午後はタクシーでホテルのナハ・テラスに移動。ハナ・テラスの一階は妙にゴージャスで、ちょっと自分が場違いな感じだった。そこから予約したシャトルバスに乗って、ブセナ・テラスへ。なんと乗客は我々二人のみ。ギアの入りにくいマイクロバスがきしむように音を立てて、沖縄中部へと向かった。
牧志市場の魚屋店頭。