京都ハイカイ 04

 今日も今日とて京都は雨。
 さて、昨日はまた雨の中、あの超有名な龍安寺に行ってきました。雨だし、平日だし、きっとあの石庭を前にして、雨だれの音でも聴きながら、静謐なときを過ごせると思いきや・・・・・、
 波のように押し寄せるは修学旅行の中高校生のグループ。最近はタクシーの運転手さんが案内役となって、神社仏閣を巡るのが一般的のようで、ほんの10分ほどでそれらの一団が次から次へと寄せて返す。まさに波のような彼らは、いってしまえば石庭のテーマに相応しくもなくもない・・・、なんてことはない。とにかくうるさいのだ。14個あるという石を声に出して、指さして、イチ、ニイ、サイ、シ・・・、と数えている。君たち、目では数えられんのか。そしていったい何度聞いただろうか、運転手さんは決まり文句として、遠近法といっている、そう塀の高さが遠いほど低くなっていて、それが庭を広く見せるのだという。ええぃ、プリントにして事前に配ってはくれまいか。とにかくツレと庭に面して座ってしばし、われらが後ろを騒音とともにあまたの子供たちが通過していく。
 ここはまさに静寂でなければ何の意味もない場なのだが、すでにそのことを龍安寺は放棄している。もちろん、石庭の入り口には「静かに・・・」との貼り紙があるが、それで責任を取ったことにはならない。ここは何たら遺産ということで、チラシにも誇らしげに記載されているが、そのことを自らが否定してはいないだろうか。
 石庭の前には二組の外国人が座っていた。彼らは当初の想いから、かけ離れた思いといっしょに、ここを去ったに違いない。
 かつて40年ほど前に、修学旅行でドヤドヤと三十三間堂を参拝したことがあった。その声を聴きつけたお坊さんに、私たちは一喝され、震え上がった。しかしその一喝の意味はまだ私の中にある。きっと私たち以外にもたくさんいるだろう一喝された「子供たち」の中にもあり続けているはずだ。
 寺を出て、庭を歩く。静けさが心地よい。雨に濡れた緑が目に優しかった。


 本日、東京に戻ります。