ノックの音が・・・

 いつも使わせてもらっている小さな図書館が、このところ節電ということで午後5時で閉館してしまう。いったいこれはいつまで続くのだろう。今までは7時まで開いていたのだが、この5時から7時までは、私が思うにずいぶんと効用のある2時間なのだ。
 確かに節電はいままで湯水のように使ってきた電力というモノが、どうやって作られているのかを考え直すいい機会ではある。しかしそれもその実際の効果と、それによって生じる不利益と比べてみる必要があるはずだ。でもお役所はそんなことをする気はないだろう。
 学校が終ってひととき勉強したい高校生とか、仕事帰りに読書をしたい社会人とか、夕食前に週刊誌を眺めたい地域の老人たちから、そういった機会を奪うことが、はたして2時間の消灯の電気量にあたいするのだろうか。しかも5時にみんなが図書館を去っても、司書や係りの人は時間まで残っているので、灯りを全部消すというわけではないようなのだ。
 この図書館から追い出された人たちは、当然のこととして自分の家に帰り、照明を点ける。もっと暑くなればエアコンのスイッチを入れるだろう。たぶんその合計の電気消費量は図書館の分を上回るだろう。とすればなんのための節電なのかわからなくなる。
 この節電がコワイのは、いったん始めたらなかなかやめることができないことだ。もちろん区役所のロビーの照明の数を減らすとか、エアコンの設定温度を上げるとかとは、この図書館閉館時間の変更はやや質が異なる。でも本質は、特にそれを先導しているマインドはほとんどいっしょだ。
 なにやら60年以上前の臭いがしてこないかい。
 エアコンの室外機が回っていたら、見回り役がドアをノックする。そんなことがすぐそこまで来ている。えっ、それって当然のことだって。まあ、あなたとは意見が違うらしい。