深夜の主張

 深夜の街を不規則な爆音を撒き散らしながら、バイクが走っていく。
 いつもよく似た音なので、同じバイクなのだろう。
 ほら、もう戻ってきた。どこへ行くでもないのかい。
 そう、キミはここにしかいない。でも、かっこよく変速しているじゃないか。グイーン、グイーン、グイーンと。
 「ボクはここにいる。みんな知ってくれ。ボクはいまここにいる」
 バイクの音はそんなことを大声でいっているようだ。
 そう、わかっている。知っているよ。このあたりのみんなはみんなキミのことを知っている。だからさ、安心しておかえり。