冷温停止を判断停止に

 「冷温停止状態になることを、ひとつのめどとして、責任を若い人たちに引き継いでいきたい・・・・」
 「・・・・でもフクシマ原発冷温停止じゃなくて、民主党冷温停止状態なんですけど」
 などとつまらない冗談を書いてしまったが、この冷温停止という言葉、なかなかの曲者である。
 というのもそもそも原発の関係者は、こんな事故を想定していなかったので、事故後の用語も用意していなかったのだ。
 本来通常の原子炉を停止して、冷却水などが100度以下と安定した状態になることを「冷温停止」と呼んでいて、それには放射性物質は燃料棒の中にキチンと入っていて、制御棒もちゃんと挿入されて、放射能などの漏れもないことが前提ということになる。
 しかしこの言葉、我々は今度の事故で初めて知ったのだ。いまや福島第一原発の一号機から三号機はメルトダウンして、原子炉や格納容器にも損傷がある状態(こんなことをひと月前に書いたら怒られたかも)。つまりこの冷温停止という言葉を使っていい条件では、すでにないことになる。
 たとえ冷却水が循環システムとなり、温度が常に100度以下となっても、放射能の大元である核燃料がどういった状態にあるのかによって、どう転ぶかわからないのだ。千歩譲っても、壊れてしまった原子炉3つがしっかり「低温停止状態」と呼べるようになるには、私たちの寿命が尽きるのとどちらが早いか、といったスパンとならざるをえない。
 あの菅さん(東工大卒)といえども、そこまで首相をしていたいとは思わないだろうね。