夜空を見上げるバカップルの会話

 最近テレビで、山口百恵の最後のシングル曲「さよならの向こう側」を聴く機会が多い。なぜかといえば、旭化成のCMで別の人が歌うバージョンが放送されているからだ。
 でも、かの「イヒ」を標榜している旭化成ともあろう会社が、この歌詞をそのままCMに使っていいのだろうか。
 「何億光年、輝き続ける星にも、寿命があると、教えてくれたのはあなたでした」という歌詞の冒頭から、当時私はびっくりしてしまったのだ。だって距離を意味する「光年」を、この歌詞は時間の概念として使っているんだから。
 つまりこの歌詞を、ちょっと変だけど人間に例えてみると、「何十キロメートル、生き続ける人にも、寿命があると、教えてくれたのはあなたでした」といったバカップルの会話になってしまうのだ。
 そもそも何億光年も向こうにある星は、肉眼で見ることはできません。銀河系でさえ直径が10万光年ほどなんだから、何億光年といったら、別の銀河の星ということになる。ちなみにあのアンドロメダ大星雲までの距離にしたって約190万光年で、何億光年はさらにそのずっとずっと先なのだ。
 ところで今日この旭化成のCMを見たのは、フジテレビの池上彰さんの番組、聡明で博識の彼もCMまではチェックできない、のだよね。
 でいつも不思議なんだけど、放送局の方針なのかこの池上さんの前に並ぶ人って、みんな首を縦に振る人ばかりなんだよね。