社長さんは鉄砲の名人
数日前にテレビでアラン・ドロン主演の『チェイサー』を観てしまった。
ほんとうはまったく観るつもりがなかったのだけど、タイトルバックのスタン・ゲッツのアルトについ引き込まれて、リモコンのスイッチが押せなかったからだ。
ちさて、その映画でまず驚いたのは、画像の美しさ。漫然と眺めていたら1978年制作などではなく、最近撮ったものと思ってしまうだろう。
カメラアングルや音楽もシャレているし、アクションシーンの展開も楽しい。
アラン・ドロンも渋みを出す一歩手前あたりで、まだまだイケテる。30年以上前の映画なんだから当然だよね。
彼は青年!実業家なのだけど、武器のお手並みはプロ以上。なにせ戦争に行って来たという設定なのだから。
そうか、70年代のフランスには、そんな輩がまだゴロゴロしてたんだ。インドシナ戦争は一応54年に終わったけど、アルジェリア戦争は、54年から62年だからね。
そういった時代背景があったからこそ、こんなスリリングながらも、リアリティのある映画が作れたということになる。逆にいえば、このドンパチを可能にしたのは、フランスが戦後も長い間戦争と関わり続けていったからなのだ。
これが日本だったら、そうとうに荒唐無稽な映画になってしまう。なにもアクション映画にリアリティを持たせるために、戦争に参加することはない。そんなドンパチ映画よりも、もっと得意な表現方法がたくさんあるではないか。
それにこの映画、主人公の正義感(のようなもの)のために、結局何人死んだんだっけ。あと、あのクラウス・キンスキーの役割がよくわからなかったなぁ。
最後にふと思った、どーでもいいことを一つだけ。スタジオでの写真撮影のシーンで、プロが使っているカメラがニコマートなのに、どうしてアマチュアの女の子のカメラは、ニコンなんだろう。