恥ずかしがりの散歩者

 「散歩の途中に・・・」などとタイトルを付けておきながら、最近は長丁場の散歩に出掛けず、近くの公園や河川敷で済ませていた。
 なので今日はちょっと遠くへ足を伸ばそうと思った。目的地の公園は、すでにこれから散歩をしようとする人でいっぱいだった。いやはや皆さん健康には気をつけているようだ。
 公園の隅に友人たちを見つけたので、彼らのいっしょに歩くことにする。
 今日は手ぶらの散歩者が多い。いいことだと思う。まさに初歩の散歩者たちなのだろう。私も肩から斜めに掛けた鞄以外は手ぶらである。初歩の散歩者ではないが、風体はずっと初歩のままなのである。
 そして静かに歩く。声を出すのはあまり好きではない。出した方がいいのかもしれないが、シャイなのだ。ただ街路樹や建物や雲などを見ながら歩く。
 散歩をしたからといって、これから何かいいことがあるわけではない。自己満足といわれれば、まさにその通りなのだ。でもしないよりはした方がいい。少なくとも、あとになってから「あのとき散歩をしておけばよかったな」と思うことはない。
 それだけでも精神衛生上好ましい。つまり散歩はやはり健康にいいのである。