40年後の解凍処理

 久々にウディ・アレンの『スリーパー』を観た。ええっと何年ぶりだろうか。彼のデビュー作かそれに近い作品かと思っていたら、なんとこれが5作目とのこと。それにしてもこの計算されたハチャメチャぶりは、いったい何なのだろう。
 政治家や宗教家に対して、いま観てもかなりヤバイことを平気で表現しているが、制作された年あたりでの、そのヤバサは段違いだったはず。
 あっ、どこかの会社の採用担当は、一度でもヤバイといったら一発退場だってさ。
 閑話休題。しかしウディ・アレンダイアン・キートンの若いこと若いこと。
 1973年にふとしたことから冷凍保存されてしまった青年!が、200年後の世界に蘇るというSFコメディで、『時計仕掛けのオレンジ』や『モダンタイムス』、『独裁者』、『2001年 宇宙の旅』などのパロディが、ごちゃ混ぜ状態で詰まっている。そのへんはわかるのだが、細かいニュアンスは汲み取ることができない。英語が堪能で当時の世相をしっかり理解できていたら、たぶんもっと楽しめるのだろうなぁ、と私は思うのだけれど、そのあたりが鼻持ちならないとする人もいるのだろう。
 だけど、気がつけばもう40年近くも前の映画なのだ。スリーパーが眠っていた200年の五分の一が経過したことになる。73年なんてなんだか昨日のことのよう、と感じている私は、プチスリーパーなのかもしれない。