軍の誉れが巨大ゴミ

 やはり昨日の続き。
 ちょっとだけ映画『頭上の脅威』を説明しておくと、1964年のフランス映画で、日本公開は翌65年。寄港直前の空母クレマンソーに特別な指令が下され、一足早く帰っていたパイロットも呼び戻され、洋上へと引返す。そして彼らは臨戦態勢のまま何かが起こることをただ待つ。時間が経過するにつれて冷戦下の緊張感が画面に満ちてくる。実は地球軌道上に正体不明の物体が現れたのだ。しかもその一部がアメリカへと航路を取り始める・・・。といったストーリーで、ほとんどのシーンがクレマンソーの上か空の上で展開する。
 しかし、映画『頭上の脅威』を、たとえテレビでも観たことがあるという人は極めて少数派なのだろうね。推測だけれど、きっと70年代初頭以降にテレビ放映されたことはほとんどないと思うから。
 で、伝家の宝刀、YouTubeで『頭上の脅威』を探ってみた。するとまずヒットするのが、サントラ盤のレコードを映したテーマ曲なのだが、これが実はとんでもないモノなのだ。演奏は実際にはサントラ盤ではなく、中学生ぐらいのブラスバンドの演奏だろうか。一瞬だけこんなにヒドい音楽に感動していたのか、と我が耳を疑ってしまった。
 実際のサントラ盤は、その画面のたぶん右横にあるクレマンソーの横向き映像をクリックすれば、極めて短いけれど聴けるはずで、その違いは明確なのだ。紛らわしいことはよして欲しいなぁ。
 ちなみにYouTubeには、艦載機の発着シーンなどが細切れの状態ながら何本かアップされている。
 ところで、この当時のフランス軍の誉れだった空母クレマンソーだが、すでに退役して母港のブレスト港に係留されている。本来は身売りするか解体されるはずなのだが、膨大なアスベストの処理に多額の費用が掛かるために、いまや巨大なゴミと化しているのだそうだ。ちょっと悲しい。