丸の内再訪

 久しぶりの丸の内である。
 いやはやいったい何年ぶりなのだろう。記憶の中の丸の内は完全に姿を消し、どこか知らんオッシャレーなビル街となっているではないか。
 昔、丸ビル建築の様子を背景にした小説を読んだことがあるけれど、その頃は当然のことながらその情景をしっかく頭の中に描くことができた。でもこれではとても無理。まあしょうがないことだけど、まさに「昭和は遠くなりにけり」である。
 で、どうして丸の内なのかというと、丸善に用があったからである。本日ここで作家の佐々木譲さんと今野敏さんのトークイベントとサイン会が行われるのだ。
 しかしそれもちょっと危うかった。丸善といえばどーしても日本橋ではないか。丸の内にこんなにデカイ本店ができたなんて、迂闊にも知らなかったのだ。大きめ本屋といえば池袋のジュンク堂かリブロで済ませているので、八重洲ブックセンターに行くこともあまりない。
 だからつい昨日まで、イベントは日本橋で行われるものとばかり思っていた。でもどの地下鉄が便利なのかなぁ、などと思ってホームページを開けて、初めてことの真相が解明されたという次第。
 まあ年寄りがやってしまいそうなことですな。NHKホールに行こうと内幸町に出掛けるようなもの、いやそれは古過ぎるか。古いといえば梶井基次郎が小説『檸檬』で爆破を夢想するのは、京都の丸善だったね。
 もとい、かくして無事に丸善丸の内本店に着いたのだったが、また長くなったので続きは今度。