がんばれ青年!

 (昨日の続き)
 しかし丸善丸の内本店は、大変失礼ながら本屋っぽくないのである。なんというか私が慣れ親しんだ本屋のにおいというか気配というか雰囲気とはチト違うのだ。
 お客さんはいつも丸の内のビジネス戦士あたりなのだから、その空気に私が違和感を持ってしまうのは、まあ当たり前のことではある。それに休日だったので、子供連れなどの客も多い。三連休の最後の日だったからか、何より行きかう人が速く歩いているのだ。本棚の本棚の間は本を吟味する空間というよりも、まさに通路という感じである。
 ということでインフォメーションにて佐々木譲さんの『警官の条件』(新潮社)とイベントの整理券を受け取り、少しあたりを徘徊してから「日経セミナーホール」という会場へ。ほら、ビジネス戦士的な名前でしょ。
 開始の10分ぐらい前に到着するともう席は7、8割方埋まっている。でも前から3列目に空いた席を見つけたのでそこをゲット。
 そして定刻どおりに譲さんと今野敏さんが登場。近作の小説を中心に警察小説の担い手としての思いをそれぞれが語る。好きな海外の作品やシリーズ化された作品の持ち味、そして書くことの矜持などなどいろいろと頷かせる。
 失礼ながら今野さんの作品は読んだことがなかったのだが、警察幹部が主人公で、なかなか興味深い。たぶん『隠蔽捜査』シリーズを追いかけることになるだろう。
 ちょっと朴訥な編集者の司会ぶりに、お二人はオトボケで道警の先輩後輩であるとカマしたりしたのだが、彼からの突っ込みがない。せっかくの助け舟なんだから乗っかってほしかったなぁ。がんばれ青年!
 例えば「どんな事件を担当されたんですか」などと質問すれば、本当のことをいうより易くポコポコと架空事件が現れたりして。
 ということで、この項目また続きます。