タルコフスキーの黄色いシッポ

 高田馬場早稲田松竹では4日まで、タルコフスキーの『惑星ソラリス』と『鏡』が上映中だ。DVDでは何回観たかわからないけれど、映画館のスクリーンではしぱらく観ていない。うーむ、いってみたい気がするのだが、この段階でまた何かを発見してしまうと困るしなぁ、などと思いつつ、いつもナイスな劇場のホームページを眺めているとタルコフスキーのプロフィールに目が張り付いてしまった。
 なんと未知の作品がラインナップされているではないか。その名は『特攻大戦略』(1968年)。まさに「みぃっけた!!」といった感じである。しかしなんともトホホなタイトルだ。調べてみると日本では未公開だがテレビで放映されたことがあるようで、そのとき付けられたタイトルがコレなのだろう。彼はこの映画の脚本に参加している3人の中の1人のようだ。
 ちなみにネットで調べてみると「コードネーム・フラッシュ」という副題の中国(香港?)映画があるが、こちらは中越戦争を描いたまったくの別モノ。他にも同タイトルでアメリカ映画もあるみたい。
 さらにいろいろと調べてみると、監督やスタッフはほぼ知らない名前だけど、主役がナントあのアナトリー・ソロニーツィンではありませんか。『アンドレイ・ルブリョフ』や『ストーカー』で出演したあの役者なのだ。たぶんタルコフスキーはこの映画で彼と知りあったのではないかな。
 で、さらに調べると、この映画の原題は「Один шанс из тысячи」のようである。はい、なんと読むのかわかりません。
 検索してみるとどこかのサイトで観ることが可能で、チラリと拝見するとソロニーツィンさんは最初から登場している。その落下傘部隊の帽子姿は、なるほどタルコフスキーが『アンドレイ・ルブリョフ』で法衣をかぶらせてみたくなる面構えなのだ。まあ、実際にそれがきっかけかどうかはわからないけど。
 ・・・と思ったら、『アンドレイ・ルブリョフ』の制作年度が1967年なので、話は逆となる。まあソビエト映画の場合、ほんとうに制作された年と公開年がずいぶんと違うので確かなことはいえないのだけれど。タルコフスキーが推薦して『特攻大戦略』に出演したという方が実際に近いのかもしれない。もちろん今後、しっかり調べてみます。いいネタを見つけてしまった。