ベテランだけど新参者

 近頃は公園を歩くときには必ず小さな双眼鏡を持って出ることにしている。もちろん、カワセミを見るためだ。
 今日は三人のカメラマンが遠くの枝で休んでいるカワセミに焦点を合わせていた。彼らはどうも顔見知りのようで、レンズの性能のカメラの機種について話している。やがてそれが撮影ポイントに移る。どうやら彼らはいろんな公園で鳥を撮っているらしい。この公園の近くにはHが丘公園という場所があるのだが、そこの撮影者たちのマナーへと話は進む。
 遠くのカワセミを見ながら、そんな彼らの話を聞き続けると、その公園では何人かの常連撮影者が既得権を主張して、新参者が撮影場所に入ることを拒否することがあるという。また餌付けに苦労しているからと、金も要求されたともいっている。真偽のほどは定かではないが、ありそうな話ではある。
 幸い、私が散歩している公園ではそんなことはない。ただしそれは撮影者についていえること。珍しく魚釣りを公認している公園で、その説明書きには「魚釣りをチビッ子に解放!」なんてある。でも釣をしているチビッ子なんかほとんど見ない。釣り糸を垂れているのは、皆さん人生のベテラン揃いで、いつもの場所にいつもデンと構えている。私がここで釣の新参者になることはたぶんないだろう。