ツレはチンチン電車初体験

(昨日の続き)
 そういったわけで鬼子母神の手作り市と古本市を楽しんだあと、ツレはどういうわけか北千住に行きたいという。どうやらそこにある店に何チャラの服を取り置きしてもらっているらしい。
 問題はどうやって行くかだが、そうそう鬼子母神の前には都電荒川線が走っているではないか。それならこれに乗って終点の三ノ輪橋まで行き、日比谷線の三ノ輪から二駅ほどで北千住に出ることができる。
 そう教えたからにはここでバイバイしよう。またジュンク堂を探索するか、などと楽しいことを考えていると、一人ではいけないとツレはいう。おいおい何十年生きているのだ、と思ったが口に出すとコワイので、いろいろありつつ結局は彼女といっしょにチンチン電車観光をすることになってしまった。
 さてその都電荒川線、つまりチンチン電車はその名前の通り荒川区を中心とした路線ゆえであるらしく、残念ながら荒川と平行して走ることはない。だが走り出すときのチンチンという音は健在だ。ツレにとっては生まれて初めて、私も10年近くぶりになるのだろうか。
 この荒川線、あの3.11の際にはその日の夕刻にはすでに復旧していたのだからスゴイ。私も、そうあの日やはり北千住に出掛けていたツレを迎えるためにクルマを走らせていたのだが、ちょうど原発事故の第一報をラジオで聴いて、暗澹たる気持ちになっているその横を、チンチン電車は颯爽と走り抜けていったのだった。これにはホント驚いた。
 閑話休題チンチン電車に乗るとそこそこ混んでいたが、うまい具合にすぐに座ることができた。次の駅で降りられる方は釦を押してください、という表示は電車というよりもバスである。まあ大きさにしてもその程度だろう。ということで、このほどよい狭さはまた人間観測の絶好の空間でもあったのだ。いやいやいろんな人がいるものだ。
(どうやら続きます)