天体望遠鏡への遠望 その3

(昨日の続き)
 それからまたまた念のために書いておくと、天体望遠鏡の性能はレンズや反射鏡の直径が基本。安直な望遠鏡のチラシなどには「脅威の倍率! 200倍」と(最近は事情は知りません)ありましたが、倍率というのはレンズや反射鏡の焦点距離を対眼レンズのそれで割れば出るものなんです。だから簡単は話、焦点距離が短い対眼レンズを用いれば、簡単に倍率を高くすることができるというわけ。ただし分解能という細かい部分を観る性能は一定なので、ただボレボレの画像が大きくなるだけ。
 さて、念願かなって手に入れた反射望遠鏡ニュートン式と書いたけれど、これは筒の下にある微かに凹んだ鏡で星を捉えて、その焦点を筒の中にある斜めの小さい鏡で90度反射させて、横に開いた穴から出しそれを接眼レンズで拡大して観る、という仕組みなのです。さて、わかったかなぁ。
 昔々みたマンガで天体観測をしている場面があったのだけれど、その主人公はなんとこの反射望遠鏡の底の部分からのぞいていたのでした。おいおい、ソコには何もないって。
 そして紆余曲折と努力の日々があって(ホントかな)、いよいよ月面写真を撮ることとなりました。望遠鏡とカメラを繋げる方式はおおまかに3つあって、一番簡単な構造は対眼レンズをはずして、カメラのフィルム面に直接焦点を結ばせる(直焦点)方式です。これは構造としては簡単ですが、いざやってみるとかなり難しい。当時は他の方式でもそうですが、望遠鏡とカメラを繋げるアダプターが商品化されておらず、自作するか、あるいはオタオタしながらカメラを手持ちでやるかでした。
 で、月面はどのような大きさでフィルム面に写るのかというと、意外と簡単に割り出せるのです。焦点距離の100分の1。これがフィルム上の月の直径です。だから直焦点方式で一般的な焦点距離1000ミリの望遠鏡だと10ミリの月となります。35ミリフィルムの中でこの大きさだとやや小さいようですが、なにせアマチュアの望遠鏡は揺れるし、手動ドライブ(?)だとすぐどこかへ行ってしまうのでちょうどいいくらい。そうそう、今度の10日の皆既月食といった月が欠けたり満ちたりするのには打ってつけですよ。(続いちゃいます)