冷や汗かきつつ恐悦至極のご報告 その3

(昨日の続き)
 選考発表会が終わると上田早夕里さんと横田順彌さんのサイン会が始まり、出入り口付近にはちょっと身動きできないほどの人だかりが。
 増田まもるさんからは「二次会がありますからね」といわれていたけど、さてどこで待っていればいいのかなぁ、と立ち尽くしていると、赤いシャッをスタイリッシュに決めた大森望さんが現れて「おめでとう」の言葉をいただく。大森さんはたしか別のイベントに参加されていたはずだけど、アクティブの極みである。さらに「堀晃さんが待っていらっしゃるから・・」と控え室に連れて行かれる。堀さんは最終の新幹線で大阪に帰られるとのこと。どうやら少し待たせてしまったらしい。申し訳ない。
 そして前回お会いしたときと同様の、心地よい大阪弁で迎えてくださる。今回の評論での応募作を書くことができたのも、東京創元社の堀晃賞をいただいたがゆえであると思う。だから堀さんは今回の受賞についても恩人なのだ。
 堀さんとお別れした後、ツレはどうやら上田さんのサインが欲しいらしく、モジモジしている。ちょうど列も終わりかけているので、『華竜の宮』を一冊購入してしっかり話しをしつつ、握手までしてサインをもらっている。その姿は完全なミーハーである。
 そして増田まもるさんから地図をもらって、私はツレともども二次会の中華屋さんへ。きっとSF評論賞の関係者だけの集りだろうな、と思ったら、なんとSF大賞の上田さんと横田さん、それに堀さん以外の大賞選考委員の皆さんもみんないらっしゃっているではないか!!! なんとも凄まじき豪華メンバーである。もちろん増田さんや会長の瀬名秀明さんも、そしてなぜか大森望さんも。ツレは宮部みゆきさんの姿を見て、ミーハー度全開で浮き足立っている。確かに何冊か宮部本を読んではいるはずだけど。
 宴は豊田有恒さんの乾杯の音頭で始まる。
 増田さんにはツレを「サクリファイス」の最初の10分で眠ってしまった人と紹介する。するとベルイマンの「第七の封印」について教えていただく。この映画はタルコフスキー理解に欠くことができないのだそうだ。
 瀬名さんからはレムとタルコフスキーの根本的な立ち位置の違いを。いいお話を聞いた。原稿に反映できそうだ。
 大森さんがお酒を飲んでいないので、前日のSFファン交流会の二次会の話となる。「松崎(有理)さんがアルコールを一滴も飲まないで、不思議なソフトドリンクばかりなんですよ。創元のイベントのときはアレほどアレだったのに・・・」と私がいうと、大森さんは「いや、あのとき家の人からこっぴどく叱られたみたいだよ」とのこと。でもその日のソフトドリンクって、ちょっと気持ち悪そうだったなぁ。
 隣りのツレを見るとどうもさっきからソワソワしている。席が遠いのでお話はできなかったけれど、どうやら宮部さんといっしょの写真を撮りたいらしい。そこで私がお願いすると快く受けてくださった。ツレはきっと天にも昇る気分だったに違いない。
 宮部さんは少し先に帰られるとき、送りにいったツレに「忍澤さん、さようなら」といってくれたそうだ。いったいどこで名前を覚えてくださったのだろう。
 そして夜は更けゆき、午後10時頃にお開きとなった。めくるめく時間の終焉である。
 家に帰ってネットを見ると、もう大森さんのレポートが配信されている。私はツレに「すごいよなぁ、大森さんの記事がもう出ているよ」というが、誰だかわからないようす。そこで「ほら、赤シャツの・・・」というと今度ははっきりとわかったようだ。彼女は言語認識よりも意匠識別が得意なのだ。その夜はやや興奮して二人ともなかなか寝つけなかった。
 皆さん、素敵な夜をありがとうございました。