天体望遠鏡への遠望 その6

(12月10日の続き)
 さて、天体望遠鏡の話である。本人がすでに何を書いたかほぼ忘れているので、もう誰も憶えてはいないと思うが、それでも続けるのである。年寄りはシツコイことが自分がそうなって初めてわかった。
 この前にカメラと望遠鏡を繋げて月を撮影すると、焦点距離の100分の1ほどがフィルム面に写ると書いた。ダヴィチがいった人体の神秘的な比率ほどではないが、太陽と月の地球からの見かけ上の大きさがほぼ同じことを含めて、不思議なことがあるものである。
 ということで、もちろん太陽も撮影すれば焦点距離の100分の1ほどがフィルム上に写るわけで、それを得意にしているファンもいるだろうけど、とにかくフィルターの扱いが難しそうでトライしたことはない。記録とするのなら太陽の像を白い紙に映して、それを接写することの方が安全で簡単だろう。
 ところで今までは直焦点、つまりこれも前に説明したように望遠鏡の主鏡の焦点をそのままフィルムで受けるという方法を書いてきたが、これ以外にもカメラのレンズや接眼レンズを使うやり方があって、こちらの方がよりポピュラーといえるだろう。
 私は一番簡単なやり方、つまり接眼レンズもカメラのレンズも着けたままの撮影方法しかしたことがない。で、この場合のフィルム面の月の大きさなのだが、これは(確か)望遠鏡のその時の倍率×カメラのレンズの焦点距離で計算できたはずだ。で倍率というのは望遠鏡の焦点距離(例えば1000ミリ)÷接眼レンズの焦点距離(例えば20ミリ)でわかるから、この場合の倍率は50倍となる。
 そしてカメラのレンズの焦点距離が50だとすると、50×50=2500ミリ、これがこの仕組みの場合の焦点距離だ。そしてやはりこの100分の1が月のフィルム上の直径となる。この程度なら視野にうまく納めることができれば、月の部分アップの写真が可能だろう。よって一般的には長い焦点距離の接眼レンズを使った方が簡単である。短い接眼レンズを使うフィルム上の月はとんでもなく大きく、つまりブレブレのボケボケになってしまうのだ。
 あっ、ほんとは今回、私と高校時代の先輩が撮影した月食の写真が『天文ガイド』に掲載された話を忘れていた。また今度ね。(性懲りもなく続きます)