テレビ電話の未来系

 銀行に出掛けて、窓口からテレビ電話で手続きの説明を受ける。ロビーには他にも行員がいるので、何か変な感じ。でも銀行でテレビ電話を使うのはこれが最初ではなかった。
 一年ぐらい前に窓口が混んでいたので、個室に備えられたテレビ電話での手続きを勧められたのだった。そのときはこちらも何がしかのアクションを伴っていた。でも今回はただ説明を聞くだけだった。それほど専門性のある内容ではなかったようだけどね。
 しかしふと昔を思い出す。そうテレビ電話は、かつて未来に属する機器だった。でも今ではブロードバンド環境にいれば、いとも簡単にできてしまう。でもかつて夢のシステムと思われたテレビ電話も、普及していないようだ。ぜひ欲しいなんて思っているのは、愛する孫と遠く離れて暮らすジジババと、風俗関係者ぐらいだろう。
 そのテレビ電話みたいなものを昔々に体験したことがある。東京タワーに昇ったあとで、下の建物が小さな未来の展示場のようになっていて、そこにテレビ電話が設えてあったのだった。もちん本当に外線と繋がるものではなく、自分のブースにカメラと受像機があって、それが隣りのブースのやはり電話と受像機に交信できるというものだ。でも当時としては自分の顔がテレビに映るということ自体がいわばスゴイことだったので、親に頼んでそれを写真に撮ってもらったりしていた。
 ときは過ぎて、銀行のテレビ電話、見るとその画面の隅っこに私の顔が映っているではないか。もちろんそんなの見たくもない。ということで、結局、電話の向こうのどこかの女子行員の顔はほとんど見ていなかったんだよね。