ポパイは船を見捨てない。

 イタリアでの豪華客船の座礁転覆事故は、豪華船クルーズ市場にダメージに与えるに違いない。超一流ホテル以上にきらびやかな内部を持った、海の要塞のようなそれも、所詮は水の上に浮かんだ箱に過ぎないってことを、船の底に開いた痛々しい穴がみごとに明らかにしているよね。そして結局は船長一人が悪者にされて原因究明は収束していくみたいだ。
 ところで、救出された客は口々に「まるで『タイタニック』みたい!」といっている。これはタイタニックの沈没事故そのものではなくて、どちらかといえば映画『タイタニック』みたいといっているのだろう。
 つまりアカデミー賞を鷲づかみしたあの映画は、巨大船の沈没事例のガリバー的な存在になっているのだ。
 でも私としては誰か一人ぐらいは「まるで『ポセイドン・アドベンチャー』みたい!」といって欲しかった。ちょっとゴロは悪いけど。
 そうそう、『ポセンドン・アドベンチャー』といえば数日前、ジーン・ハックマン(最初「八苦万」って変換されてしまった)が自転車に乗っていて自動車とぶつかる事故に遭ったそうだ。幸い軽傷だったようだけど。
 ちなみにタイトルのポパイはジーン・ハックマンの当たり役だった『フレンチコレクション』の刑事のニックネーム。