2001年に買った『2001年』

 ゆえあって、クラークの『20011年宇宙の旅』を開いた。
 といっても手に取ったのは『宇宙のオデッセイ2001』。ハヤカワ・ノヴェルズのそれはたぶん本邦初訳だろう。奥付には初版の日付がなく、ただ「昭和45年5月31日 4版発行」とある。せっかくだから西暦にすればよかったのにね、と思って文庫の『決定版 2001年宇宙の旅』を見たら、しっかり「2001年4月15日 十四刷」になっていた。
 ところでこの「小説」(というか究極のノベライズなのかな)の当初の日本語タイトルが、原タイトルの『2001 a space odyssey』のまんまだったのが興味深い。いまでそこ『2001年宇宙の旅』はひとつのまとまりというかイコンとしてイメージできるけど、公開当時は教育科学映画だと思われてもしかたなかった。
 実際のところ、少年漫画のグラビアページでも、一見そのような紹介がされていたような記憶がある。
 そんなこんなで公開時に小学生だった私は、東京(!)に映画を観にいけなかった反動から、中学生になってその「小説」を買うことにした。でも、どうやら映画のタイトルと違う。でも表紙はディスカバリー号だぞ、とやや躊躇しながら、定価450円也を恐る恐る差し出したのだった。以来、何回この「小説」を読んだだろう(というほどでもない3回程度か)。
 特に印象深かったのは「まえがき」後の署名で、A・C・Cとある。中学生にはそれがなんともカッコイイように見えたのだ。でも文庫ではアーサー・C・クラークになっていた。どこかに別のA・C・Cさんでもいたのだろうか。