「今日はいい日だね」

 ひさしぶりに長距離の散歩をした。前は確か9月で、千駄ヶ谷の公園から渋谷まで歩いたけれど、今日は原宿の公園から千駄ヶ谷の公園までだった。12月にも機会があったのだけれど、それはサボってしまったのだ。
 散歩をする前に、ある女の子の歌を聴いた。「ふるさと」だ。知っていたはずの歌詞が身体に浸透してくる。つい目の中からある種の液体が出てきそうになる。おじさんを困らせてはいけません。
 幸い天気はよかった。時たま日が射してきた。上り坂がほとんどなかったのが、またよかった。明治神宮の前あたりでは、日の丸ワッペンをつけた優しそうな青年三人がこちらを見ていた。だから微笑んで返した。
 表参道の歩道は上り方向に大勢の人が歩いてくる。なにかイベントでもあったみたいだ。おしゃれな大きなビルがテナントを募集している。竹下通りを明治通り側から見たが、意外と閑散としている。東郷神社の前にも何かを見つけたように青年が楽しそうに談笑している。きっと「坂の上の雲」のファンなのだろう。
 今日の散歩で近くを歩いている人たちは、どうしたわけか意外と年齢が若い。若けりゃいいってもんでもないが、おじさんはそれだけでいい気持ちになってしまう。
 散歩の終わり近くで、すでに散歩を終えた人があいさつをしてくれる。それにも笑顔で答えた。今日は寒かったけど、いい日だった。