地球はチープなのがイイ。

 2月9日の続き。
 そう、またロケットなんかの話。確かに映画『宇宙からの脱出』は特撮がチープで、『2001年宇宙の旅』と比べれば、いわゆる雲泥の差となってしまうわけだけど、その内容の分かりやすさが好きだったんだよね。少なくともエンタメ的は面では優れていた。特に嵐の中の救助ロケットの発射シーンとか、宇宙船の酸素がなくなっていく緊張感などは見事、といちおういっておきたい。
 で、数日前に『2001年』の決定版文庫の表紙には、ホルムズ海峡あたりが描かれていたと書いたけど、この『宇宙からの脱出』の映画プログラムと小説の表紙、裏表紙には、やはり軌道上のいくつものシーンが載っている。でも、なんとその全部がフロリダ半島の上空なわけだ。 まさか静止衛星でもあるまいし、たまたま印刷物でそうなってしまったのか、実際の映画でもほんとにそうなのかは謎のままだ。
 勝手な想像だけど、そんな光景をちゃんと作る技術とか予算がなかったのかな。
 しかし今や軌道上からの地球の映像など毎日のように見ている。テレビコマーシャルで出てきたって、誰もただの風景としてそれを受け入れているだけだ。それに比べれば『宇宙からの脱出』ところか『2001年』の地球だってかなりチープである。
 もしかすると、これから先はもう最初からCGで作られた地球を見ることはできない時代になってしまったのかもしれない。そして懐かしきは精巧に作られたホンモノまがいの地球ではなくて、そのときの技術陣が汗を流して描いたチープな地球なのではないか、な。
 そう銭湯の壁絵には誰も信憑性なんて求めないもんね。