軌道上からの報告

 今年の7月、夕張市で開催されるSF大会「Varicon 2012」のホームページには、日本SF評論賞チームによる「北海道SF大全」が連載されていますが、そこに不肖、わたくしも文章を掲載させていただきました。
 今回の連載は「北海道を舞台にしたSF」が課題なのですが、私にとって北海道が舞台といえば、佐々木譲さんの作品以外にはありませんでした。しかも譲さんは大会の開催地である夕張の出身ではありませんか。
 しかし狭い範疇としてのSF作品を譲さんは書いていません。ですが、連載されている方々の文章を見ると、かなり広い意味でSFを捉えられていると勝手に解釈させていただき、今回はデビュー間もない頃の作品の、『白い殺戮者』を取り上げさせていただきました。
 作家としては、「何であの作品を」と思われるかもしれませんが、あの寒さのモンスターにSF性を感じたので、ご容赦いただきたいと思います。
 しかし残念ながら、とてもそのSF性に近づけたとは考えていません。ただ周辺をクルクルと回っていただけのようです。評論以前、解説の難しさを十分に味わった今回の掲載でした。次回もまたその対象の周辺を回るだけに終わるかもしれませんが、少しでもその周回軌道を低くできれば、と考えています。