ローソクはその闇を照らして

 新宿で、早川書房の井手さんと「ソラリス論」の打ち合わせ。かつての立場が逆になって、不思議な気分。ご指摘ごもっともで、何とかなるかなーというのと、えっ、どうやったらいいのかというのがいくつか。でも総合的にどうにかなるでしょ、という結語。というのも、このあとめでたいイベントが待っているから。
 ということで、井手さんとともに場所を移動。今日は創元短編仲間の高山羽根子さんと、かつとんたろうさんの結婚を祝う会に混ぜてもらうのだ。
 店はパオを模した造りで、中を覗くと、モンゴル民族服姿の大森望さんがもうスタイバイ。客全員がそれに着替える趣向で、私もさっそく赤い服と赤い帽子でお色直し、って違うか。
 おっと、モンゴル服になっても帽子だけは自前の松崎有理さん、そして隣りに、このあとの運命を知るよしもない、東京創元社の「まな板の羊」こと石亀さんがいるではないか。松崎さんには『原色2』にサインを求められる。ああ、サインなんて考えたこともないのに、とグチヤグチャの英文サイン、汚くて御免なさい。
 会場には40人ぐらいだろうか、友人知人が押し合いへし合いの大盛況の中、宴が始まり、まずは羊の刺身を食す。ややシャーベット状ながら、極めて美味。
 やがて宮内悠介さんや、東京創元社の小浜さんも到着。
 しかしこのモンゴル服はなんともステキだ。特に女性陣はいい感じ。キラキラの原色がこんなにも似合うなんて。やっぱりモンゴリアンなのだなあ、と単純に思う。
 やがて羊の解体ショーとか、モンゴル相撲合戦とか、なぜかS×ショーが展開し、結婚パーティはつつがなく進む。
 宮内さんは各方面から『盤上の夜』へのサインを求められる。さっそく松崎さんもへらっと本を差し出す。おお、彼は鞄から落款のためのハンコを取り出すではないか、カッコイイのである。
 宮内さんは、なぜか私がつぶやいた「あとは野となれ山となデシコ」がお気に入りのようす。どうぞどこかでお使いください。
 石亀さんには語学のことを少しお聞きした。ロシア語にはHという発語がないとか何とか、参考になります。
 ということで、みんなで新郎新婦をからかいながらも、世は更けていく。帰りがけには、みんなで作ったリレー小説の「走れ急げ言葉」などが配られる。
 ここには花嫁が式場に着くまでの、ハチャメチャな冒険が描かれている。酔っ払いはもしかすると「代々宿」なんていう駅に着いてしまうかと不安になりつつ、家路を急いだのだった。