亀釣りにうってつけの日

 また公園を歩く。バードサンクチァリから聴こえる鳥のさえずりがにぎやかだ。
 でも、今日もカワセミは確認できず。
 あたりで子どもが釣り人と話している。その小学4年か5年ぐらいの男の子の口調がメチャクチャ丁寧なのが楽しい。どうやら、そのへんを泳いでいる亀に関心があるらしい。
 「あ、亀がいますね。あれ、釣らないのですか」
 「亀は釣らないなぁ、あはは、考えたこともない」
 「へぇ、どうしてですか。かわいいのに」
 「さて、どうしてだろう。釣りっていうのは魚を釣るんだから、亀なんて考えたこともなかたなぁ」
 「僕、亀が飼いたいんです。釣ってくれませんか」
 「そうか、飼いたいのか。でもたいへんだぞ」
 とかなんとかやっているうちに、別のおじさんが亀を釣ってくれた。ただ浮かんでいる亀の前に餌を垂らせば、すぐにパクッとかかる。これじゃ、面白みもなにもあったものじゃない。
 「ほら、亀だ」
 「ええっ、ありがとうございます」
 かくして亀は彼の一家となったらしい。もてあましても、公園には放さないでね。双眼鏡で見ると、向こう岸の浅瀬は亀だらけなのだから。